高校受験 エピソード2 完

受験が始まった。

 

実はもうその時の事はあまり覚えていない。

 

多分、デッサンや与えられたテーマで絵を描く事などをしたと思うのですが、

 

記憶にはほぼない。

 

それは緊張していたからなのか、でもそんな事も無かった様に思うんですが、

 

 

ただ面接の受け答えだけは覚えている。

 

 

「どうしてうちの高校を受けたの?」

 

僕はかなり時間を空けて 窓の外を見て、あ〜緑が多いな〜と感じ

 

 

「緑が多くて自然なので」

 

 

と答えた。

 

 

 

 

父親は受験中も近くで待っていてくれて

また何時間もかけて気まずい車中家路に着いた。

 

 

 

ちなみに僕は受験勉強はしてないです。

 

 

 

後日

結果発表の日に

母親からお守りを渡された。

それは徳島に住む母親の妹が合格という駅でお守りを買ってくれていた物だった。

 

そして合否の結果を見る為に母親と電車でまた6時間ほどかけて学校に向かった。

 

 

電車は震災の為進むのが遅く、

 

僕は戦争を経験していないが、

 

窓から見える景色は正にその様な光景で、

 

それが見渡す限りずっと続いていた。

 

 

 

ようやく

学校の正門に着き

中に入り校舎の正面に合否が張り出されていた。

 

 

僕は見た瞬間に

 

1番がないのがわかった

 

 

「ないわ」

 

 

「え、うそやろ、うそやろ」

 

と母親は笑いながら

校舎の方へ確認しに行っていた。

 

僕はもうそこからは動きたく無かったから

じっとしていた。

 

母親は合否が張り出されたところで

キョロキョロしながら

またこっちに笑いながら歩いて来て

 

「ほんまにないなー」

 

「あー疲れた、来てすぐ終わりや

帰らなあかん、疲れたなーどっかでご飯でも食べて帰ろかー」

 

 

そんな感じの事を言っていたと思う。

 

 

僕は受験勉強をしていないクセに

 

結構ショックでしたが

 

「そら当たり前やろ!」

 

と当時の自分に一言言いたい。

 

そして

 

「多分行かんでよかったで!」

 

とも言ってあげたい。